辺りがすっかり暗くなった頃に私は家に着いた。
「ただいまぁ………って誰も居るわけないよね。」
いつもと同じ、暗い玄関に自分で明かりを点す。
…いいよ、いいよ。そんなの、とっくの昔に慣れてる。
どうせ……家におかぁさんは居ないんだ。知ってるよ。
荷物を自分の部屋に置きに行き、食事を取る為に居間に行く。
今日は疲れたな………。
テーブルの上に置いてある料理を見る。……今日は野菜の炒め物だった。
やっぱりおかぁさんの料理は世界で一番美味しいと思う。少なくとも私はそう思う。
忘れられるかな………今日あった嫌な事を。気分転換をする為にテレビをつける。
………………はぁ、くだらないな。
面白い番組をやってる訳でもないし…消そう。
…今日の出来事は本当に私が起こしたんだろうか?…………何だか実感が沸かない。
本当に……私が起こしたのか?いや……でもあれは確かに私が起こしたことだ。
……………何だ、私だってやろうと思えば出来るんじゃないか。
くく、……くくくくくくく………くくくくくくくくくくくくくく…………
…あぁ、美味しい。…本当にこの野菜炒めは美味しいな。
私も料理をある程度は作れるようになったけど、まるで敵う気がしないや。
やっぱりかぁさんは偉大だ。
……そんなかぁさんも、
圭一のせいであんな汚れた仕事につかなければいけなくなった。
そうだよね……何度もいうようだけど……殺してもいいよね。
…急にあそこまで出来たのだから、
圭一を殺すことなんていとも容易く実行できるだろう。
神様はそういう才能を私にもちゃんと与えてくれていたんだ。
……美味しい。美味しい。凄い美味しい。何だか物凄く食が進む。
普段から美味しいとは思ってたけど今日は異常にそう感じる。
何でだろ………………。ここまで美味しいと、不思議と嫌な感じまでしてくる。
「…………大丈夫だよ。食べ物を美味しいって感じる事は私が正常な証拠。
逆に美味しいものを美味しいって感じなくなる時が異常なの。
うん、大丈夫、大丈夫。………………………………私は大丈夫。」
そう、自分自身に言い聞かせる。
ははッ…………何を言ってるんだろう。
何も起こるはずはない。だって障害は私が取り除いていくのだから。
明日は休日だ。
明日も雛見沢を目指そう。
明日こそ圭一の情報を知ることが出来るだろう。
…いや、魃ぃちゃんに電話して今日中に圭一って人を知ってるかどうか聞いてみようか?
あっ、でも……魃ぃちゃんの携帯の番号、私は知らないや。
どうしよっかな……………。
やっぱり明日は地道に努力して情報を得るしかないのかな?
………正直言って、明日も魃ぃちゃんと偶然に会うことは考えにくい。
やはり、一人で、圭一の情報を聞き込みしなければならない。
怪しまれないようにしないといけないな。
あれ…………………電話が鳴ってる……?
こんな夜中に誰だろう………私にかかってくる訳もないし。
ん、まぁ、…………………間違い電話かな。
万が一、かぁさんの友達だったとしてもこんな時間にかけてくる筈がない。
…………無視しちゃおうかな。どうせ出たところで時間の無駄になるだけだ。
……電話は未だに鳴り続けている。
いっその事、出てしまおうか。……いや、これで間違い電話だったら腹が立つだけだ。
それに、もしかぁさんの友達だったとしたらこれだけ長い間出ない事を失礼に思われてしまう。
……無視だ。徹底的に無視。一度決めたことを簡単に覆してはならない。
……………あぁ、まだ鳴ってるよ。
どういう事だろう? 何か事件でも起こったのか……?
いや、まさか……そんな筈はない。私の周りに限って事件なんて起こるはずはない。
………警察に呼ばれたって単なる注意だけだったじゃないか。
そうだそうだ。無視だ、無視。こんな電話なかった事にしてしまえば良いんだ。
…………やった。やっと鳴り止んでくれた。
やっぱり今日の件は、見えないところで相当私を疲れさせているのかもしれない。
………無闇に不安になる必要なんてないんだ。
「ははははは……………不安になる要素なんて何もないよね?
何もないって……きっと、さっきのは只の間違い電話。取るに足らない物なんだ。」
見えない疲れはじわじわと肉体と精神を蝕んでいく。
……明日の為にも早くお風呂に入って寝たほうが良いかもしれない。
あ……………れ……………?
また……………………電話が鳴りだした。
どういう事だ?……普通の用事なら二回もかけない筈だ。
……さっきとは比べ物にならないくらいの強い不安が私に降りかかってきた。
今度は出ないといけない。そう、私の第六感が告げていた。
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