親愛なるみんなへ 詩ぃちゃんがみんなを殺した事件から、何度目かの春がやってきました。 魅ぃちゃんも梨花ちゃんも沙都子ちゃんも死んで、よそへ引っ越していった圭一くんからも、音沙汰がありません。 引っ越した後も、手紙や電話くらいはくれるって言ってたのに、どうしたのかな。 園崎家が連続怪死事件に関わっていたと報道されるようになったことから、徐々に村の様子が変わってきました。 村を離れる若者が増えはじめ、住人の数が少なくなってきました。 オヤシロ様を信じていた老人達も、梨花ちゃんが殺されても何の祟りも起きなかったことで、熱が冷めてきているようです。 綿流し祭も以前ほど賑わわなくなって・・・・。 もう、オヤシロ様を信じているのは、私だけです。 でも、私はここにいます。 オヤシロ様が、ここにいろって言うから。 そうそう、春になってゴミ山の近くに、あずまいちげの花を見つけました。 雛見沢でこの花を見るのは、初めてのことです。 たった一輪だけで咲いて、まるで今の私のよう。 なんでも、たった一個しか花をつけないから、「東一華」と名づけられたんだそうです。 でも、「あずまいちげ」ってひらがなで書く方が、かぁいくて好き。はう♪ ・・・・手紙にまで「はう♪」だなんて、おかしいね。 もうみんなはいないから。 幸せは逃げてしまったから。 だから、もうかわい子ぶる必要なんてないのにね。 でも、大丈夫。 私はまだ、きっと幸せになれるよ。 圭一くんが魅ぃちゃんにあげずに私にくれた人形、今でも大事にとってあるんだよ。 お店で沙都子ちゃんと梨花ちゃんがもらった人形も、2人が住んでた家に飾ったままにしてあるからね。 さようなら。また、お手紙書きます。 レナより 風の強い日だった。 茶色がかった髪の少女が、一枚の紙を持って野原の中央に佇んでいた。 紙が風を受けて、静かになびいていた。 少女はやがて、紙を持っていた手を離した。 紙はみるみるうちに空へと巻き上げられ、見えなくなった。 「お手紙、みんなに届くかな」 少女はそう言って、少し寂しげに笑った。 「さあ、行こう圭一くん。またゴミ山で、かぁいいもの見つけたんだよ?だよ?」 少女はどうやら、彼女の服のポケットから首を出している人形に話しかけているようだった。 そして彼女は、足元に置いていた斧を手にとって、嬉しそうにいずこかへと駆け出していったのだった。 反響の具合だろうか。その少女の足音は、なぜか2重に響いているように感じられた。